日々の手触り

日々です。とりとめのない日常をつらつら書いていきます。

「はだかのゆめ」とオノマトペ

こんばんは、日々です。

今回は完全に自己満足の記事。

今推しに推しているBialystocks 甫木元空氏の小説「はだかのゆめ」

https://amzn.asia/d/49Kxg6U

ゆる言語学ラジオ

open.spotify.com

から得た知見をもとに色々分析してみた。って記事です。

 

 

もとから甫木元さんはよくオノマトペを使って話すと思っていて。

*1

例えば、セルフライナーノーツでは「ドカドカドラム」「ジャカジャカギター」と発言しています。

open.spotify.com

歌詞にはあまり出てきませんが、小説にはよく出てくるので癖とかではなく意図的に使い分けていると思います。

 

と、いうわけで小説「はだかのゆめ」をまるまる読んで出てくるオノマトペを収集してみました。

(※擬音語だけで表現されているものは省いています。取りこぼしもあるかも。)

 

「はだかのゆめ」オノマトペ

・チョロチョロと揺れる火

・ニヤニヤした顔

・クルクル回転していた車

・ボーッとしてるからだ

・ッチャ、ッチャ。

・グルングルン

・ぷ、ポテ、コロン。ぐちゃ。

・ジッと見つめる。

・たぷん、たぷん。

・鯨がピュッと潮を吹いた。

・ドサ。

・ドタドタと階段を上る

・エッサ。エッサ。

・ガラガラと泡の中からおしゃべりな映写機が顔を出す。

・階段をエッコラ、エッコラ下る

・ガラガラと音を立て

・グルグル揺さぶり

・電光掲示板がチカチカと

・パツンパツンな黄色のジャンパーを

・シャカシャカ鳴らしながら

・ペラペラと紙をめくっている

・カラン、コロン。

・キイキイ軋む音

・ドロドロと歩く姿

・口はポッカリと開き

・スルリ、スルリ。スルスルスルリ。

・パッとライトが全灯する。

・ヒョッと。

・病院の入り方が分からずウロウロ。

・スイーッと水路と並走。

・カタカタと鼻歌を歌っていた

・ゴッソリはがれたタイヤ

・ブクブク太り

・ドスン、落下。

・ヌルッと仰けぞり這い出てきた。

・ボソボソしゃべるき。

・黄色いプレートを掲げながらノロノロ

パスコンパスコン

/口という口からもデルワデルワ。

・ネチネチネチネチ。

・モジャモジャ頭

・ボソッと自分にだけつぶやいた。

・風がスースー入る風呂場

・糊や箸がコロコロ転がる傾いた床

・袋にポンコラ入れたなら

・ズンズン進み

・トタン屋根がミイミイ。

・小便のようにジョボジョボと

・風はピタリと止み

・ノソッと入っていく

・(のびのびとまだらに生えている。)

・ドスドスと歩く

・ドスドスと重たい音

・盆の上でユラユラ。

・ヒタヒタとカツオのタタキを醤油につけ。

・醤油をなみなみと垂らした。

・チラチラと弟への醤油チェック

・まるまるで?

・ぬるぬるするきね。

・チョコンと置く。

・ボコボコのバケツ

・ガッポリ口の空いた

・ポチャンってね

・両腕はブラブラブラ。

・こんな空気がノソノソと。

・スルスルどこか嬉しそう

・水平線へ、ポカン。

・ガタンゴトン。ガタンゴトン。

・ダルダルの顔面

・ゴポゴポと沈下橋を飲み込む様

・ドスドスと轟く

・スッ、スッと。

・コンコン頭を打ち付けている。

・ピィーピィー口笛を吹いて

・グッと唇を噛み締めた。

・とぷん。

・ぷかり、

・(ゆらゆらと揺れる)

ガリガリ話しかけてくる

・口からポロポロ

・(ボーッとしててもあれやき)

・乾燥とは別の意味の、カラ。

・カラカラ鳴り出した自分の頭

・ニッコニッコの笑顔

・ベラベラ、ゲハゲハとタケノコ片手にくっちゃべる。

・フラッとついていった

・ぱたっとそっから記憶がないき。

・全てがバラバラなタケノコの話

・スタスタと神社に入っていく。

・境内の中へズカズカと消えた。

・クルクルと回りはじめた

・目玉がグラグラするのだ。

・グルグル。マワルマワル。

・たぷん、たぷん。

・パンパンに腫れ上がった足。

・スースー、地にすがりつくような情けない足音

ガリッとした自己主張の塊

・チョコンと居座るカエル

△ぐっすり、もってきて

くるりっと体をかわして、

・焼酎をドバドバ注ぐ。

・ヒタヒタと零れ落ちる水滴

・ブスリ、ブスリ、とスリよってくる

・波が、ザーッと引いて

・女の腐ったのみてぇーにネチネチネチネチ

・母はストンとハハへ。

・水面がグルグル渦を巻いている。

・バラバラにもできず、

・トボトボ後をつけるだけ

・彼奴はニヤニヤと、

・そうかいゴンゴンゴンゴン寝ゆうか

・祖父ドスドスカンバック。

/タダタダ大叔母から発される言葉の敷物に

・今にチョンと触れる

・バラバラで測りきれない

・ペタッと座り

/文句、タラタラ。

・ピュンピュンと、誰かの口笛が聞こえてくる

・びゃーびゃーうるさい

・雨がゴンゴン降ってくる。

・ジュブジュブ降るばーのもんよ。

・ガクッて落ちちゃうよね。

・雨はゴンゴン降り止まぬ。

・ツカツカと杖をつく様になった。

・コツコツと石段を登る。

・ゴトゴト、ゆっくりと。

・風がそよそよ歩きゆう

・モゾモゾしたもんよ

・モサモサしちゅうにゃ。

・パタパタとそよぎ

・ソヨソヨ帰っていくツバメの群れ

・ぷかぷか浮いちょったら

・ぴょんと、カエルがフロントガラスに

・チクリチクリと心の臓を小突く。

・ムクムクと立ち昇ってくる

・クルクルとオセロのように

・ピシャリと言葉を被せる。

・ポンコラ投げいれていく

・ぱかっと開け、

△ぎっちりみんな歌いよった

△うちの旦那と、びっちりね。

△ぎっちり、座りよった。

・ポタポタと溢れる雫

・ニヤニヤコチラをはやしたてた。

 

ざっと150個近くはあるのでは?

小説としてはとっても多いと思います。

 

話は変わってここからは「ゆる言語学ラジオ」の話をします。

オノマトペについて5回に分けて話しているこのポッドキャスト

ぜーんぶ聞いてオノマトペの魅力にすっかり憑りつかれました。

以下、特に興味深い部分を抜粋。

  • オノマトペは反復、○っ、○りと表現されることが多い

(例)ふわふわ、ふわっ、ふわり

→例でいうと「ふわ」から色んな形に活用できます。これが幼少期の言語習得の助けにもなっているのでは?という説があります。

 

「様態」のオノマトペ

→どういう様子かを表す。○○の、○○だとは使えない。

(例)キラキラ、チカチカ、ドタドタ、ベラベラ

「結果」のオノマトペ

→ことが起こった後を表す。○○だ、○○になると使える。

(例)ピカピカ、ゴチャゴチャ、バラバラ、びしょびしょ

 

この話で一番面白いと思ったポイントは

それぞれの「アクセントの違い」!

 

(例)のオノマトペを読み上げてみるとアクセントが違うのが分かりますか?

「様態」のオノマトペは 高高高低 となり、

おしりが低くなります。

「結果」のオノマトペは 低高高高 となり、

おしりが高くなります。

 

それぞれ「様態」か「結果」かでアクセントを自然と使い分けている所が自分でも驚きです。

 

疑似オノマトペとは響きはオノマトペ的ですが実際はオノマトペではない言葉です。

例えば「ゆらゆら」なら揺ら揺らと表記できるので疑似オノマトペです。

「ぼーっとする」は呆っとする?微妙なところですね。

 

先ほどの「はだかのゆめ」のオノマトペ集では

”・”から始まる用語は「様態」のオノマトペ

”△”から始まる用語は「結果」のオノマトペ

()で囲われている用語は疑似オノマトペ

”/”から始まる用語は一般語をオノマトペアレンジしている用語

という風に分類分けしてます。

ざっと見ると「様態」のオノマトペが大半です。

これが詩的で情景が浮かぶような文章の多くを作っているのですね。

 

最後に「はだかのゆめ」とオノマトペの関係でお気に入りポイントを3つあげてこの記事を締めようかと思います。

  • 文章の中での音表現

音楽の歌詞を書く人ならではの感性といいますか。

さっき「アクセントの違い」で書いたようにオノマトペには抑揚があります。

どんなに平坦な文章もオノマトペがあることで自然と文章にリズムが生まれます。

例えば「雨が降る」→「雨がザーザー降る」だと

「雨がザ(↑)ア(↓)ザ(↑)ア(↓)降る」と読みますね。

文章のリズムがオノマトペで自然と整えられます。

「はだかのゆめ」をテンポよく読めるのはオノマトペがそこらじゅうに散りばめられてるからなんですね。

 

・ぷ、ポテ、コロン。ぐちゃ。

パスコンパスコン

◎そうかいそうかいゴンゴンゴンゴン寝ゆうか

◎雨はゴンゴン降りやまぬ。

・ジュブジュブ降るばーのもんよ。

・うちの旦那と、びっちりね。

適当に抜き出しても聞いたことないオノマトペが沢山あって楽しいです。

特に長老から発せられるオノマトペが面白い。

例えば作中では祖父がよく使っていた「ゴンゴン」。(※上記◎の文章)

寝息と豪雨という全く異なるシチュエーションにも関わらず音の迫力は伝わるのでとても不思議です。

 

カタカナの繰り返しの言葉で書き表されることが多いオノマトペ

作中では

・口という口からもデルワデルワ。

・タダタダ大叔母から発せられる言葉の敷物に

というようにオノマトペでない言葉をあえてカタカナに、オノマトペのように表記することで

自然発生的でとめどない雰囲気が表現されていて面白いなと思います。

 

 

ひゃ~!オノマトペって面白い。

そしてそれを完璧に使いこなす甫木元空氏に感服致しております。

 

以上!私の勝手な自由研究でした。おしまい。

*1:オノマトペとは形や音のイメージを文字で表したもの。擬音語や擬態語とも呼ばれます。